6月15日・16日開催 本山哲選手 スーパーGT第3戦(セパンサーキット)レースレポート

スーパーGT2013年シリーズは第3戦を、マレーシアのセパン国際サーキットで迎えた。
ここ数年は開幕前にメーカー系チームがここでテストを行うようになったため走行データが蓄積され、さらにマシンのセットアップもドライバーの走りも一層ハイレベルになり、このセパンラウンドは観戦するファンを大いに魅了するレースの一つとなっている。
そして開幕から上位フィニッシュがまだない1号車「REITO MOLA GT-R」にとってはGT-R、ミシュランタイヤ、いずれも相性がいいサーキットということで、ジャンピングボードとすべく上位入賞、そして優勝への期待が高まった。

【予 選】6月15日(土) 天候:曇り 路面:ドライ 気温:33℃ 路面温度:49℃(予選開始時)

■公式練習結果:3位 ベストタイム1’56.896(関口)
■公式予選結果:6位 Q2タイム1’56.046(本山)

従来は気温、路面温度が最も上昇する時間帯を避け午前中に公式練習を行い、夕方に公式予選が始まるのが通例だったが、今年はタイムスケジュールが変更され、最も暑くなる午後1時から3時の時間帯で公式練習が行われた。
1号車はセッション開始早々から、順調にタイムを上げて行った。マシンとの相性の良さに加え、前戦でモラルハザードのペナルティを消化したルーキーの関口雄飛に本来のアグレッシブさが戻ったことも大きかった。その第2戦の公式練習では一人で走り続けた本山哲だったが、今回は関口にタイムアタックの場をより多く与え、その期待に応えるかのように関口も好タイムを連発。1号車はこのセッションを3位で、上々の滑り出しとした。

公式予選は午後4時半から。GT300クラスのQ1の後、GT500クラスのQ1がスタート。各チーム共にタイヤの無駄な消耗を抑えるためか序盤からコースインするマシンはなく、最初の1台がアタックに向かったのはセッションも残り10分となってからとなった。
関口がQ1を担当する1号車も、このタイミングでアタックを開始した。そして公式練習から快調だった流れは変わらず関口はハイペースでアタックを続けると、公式練習での自己ベストを更新する1’55.844をマーク。3位に着け、楽々とQ1突破を果たした。

本山がアタックを担当するQ2は、午後5時半にスタート。Q1の15分間から12分間へとセッションはやや短く設定されているが、Q1同様に残り10分からが勝負どころとなるのは各マシン織り込み済み。その10分足らずのステージに、先陣を切って向かったのが本山だった。
丁寧にタイヤを温め続けアタックラップへ。しかし微妙に温度が下がっていく路面に対し内圧をうまくマッチさせることができず、結果的に不満の残るアタックラップとなる。それでも1’56.046は6番手。1号車は、今季予選最上位をマークすることとなった。

●本山哲のコメント

「公式練習の走り始めから、クルマの状況は悪くなかったですね。 関口も頑張ってQ1で55秒台をマークしてくれたので、今回こそ良いグリッドを獲得しようと気合が入りました。Q2の前にアジャストした内圧が結果的には上手く合わなかったようで苦しい走行になってしまいましたが、何とか6位に踏みとどまることができました。
ここセパンは比較的パッシングし易いコースだしミシュランタイヤの決勝でのパフォーマンスは確認済みなので、6番手グリッドからでも充分優勝を狙えると思います。今日の悔しさをバネに、レースでは良いパフォーマンスを見せられるよう頑張ります。」

【決 勝】6月16日(日) 天候:曇り 路面:ドライ 気温:33℃ 路面温度:42℃(決勝開始時)

■フリー走行結果:4位 1’58.732(本山)
■決勝結果:6位(54周)1h50’35.129(関口Dr→本山Dr)

前日同様に空は厚い雲に覆われていたが、年に1度のスーパーGTを堪能しようと、サーキットには6万7000人ものファンが詰めかけた。午後の決勝に先駆け午前11時からは、フリー走行が行われた。
1号車は決勝を見据え、ここでさまざまな部分を最終チェック。そして決勝での上位入賞に向けての確かな手ごたえをつかむべく、本山が4番手となるベストタイム1’58.732をマークした。

今回のレース距離は、シリーズのスタンダードである300km。これを2回のスティントで走りきることになる。1号車の戦略は関口がスタートドライバー、そして様々な展開が予想される後半をベテランの本山に任せるというものだった。路面温度はピーク時より幾分下がったものの蒸し暑さがまだ充分すぎるほど残る午後4時、フォーメーションラップが開始。
隊列がメインストレートに戻りシグナルがグリーンに変わると同時に、決勝レースが始まった。

オープニングラップで早くも1号車は、2ポジションアップとなる4位浮上を果たす。そして関口はなおも、ペースを緩めることなく猛プッシュ。5周目には3位へと進出。さらに前をうかがう関口だったが、先行するマシンをパスしかけたところで相手が姿勢を崩し両車は接触。何とかコースに踏みとどまったが、マシンはダメージを負ってしまった。
それでもマシンをなだめながら走行を続けた関口は、23周を走り切りピットイン。関口の頑張りは大駅監督も驚くほどで、これが今回の結果につながる要因のひとつとなった。

ガソリン補給とタイヤ交換、ドライバー交替というルーティンワークにマシンの応急処置まで加わったメニューを効率よく消化した1号車は、最低限のタイムロスで本山を後半スティントに送り出した。10位でピットアウトしていった本山は、集団で激しいバトルを展開している中団グループの中でレースを始めることになる。
他のサーキットに比べると比較的パッシングし易いとされるセパンだが、この中団グループのバトルロイヤルを抜け出すのは、ベテランの本山をもってしても至難の業だった。それでも7位まで浮上した1号車はやがて、6位のマシンとマッチレースを展開することになる。

しばらく一進一退のマッチレースを繰り返していた本山だったが、最後までパッシングは叶わなかった。しかしこのファイトに神様がご褒美をくれたのか、ファイナルラップで上位のマシンが1台ストップ。結局本山は6位でチェッカーを受け、1号車は5ポイントを獲得することになった。

●本山 哲のコメント

「関口が接触されマシンがダメージを負ったため、今回もタフなレースになってしまいました。そんな中関口は、自分のスティントをしっかりと走りきったと思います。アクシデントのダメージからポジションを下げてしまい、集団の中に埋もれる格好で始まった自分のスティントも本当にタフな展開でした。
それでもマシンのパッケージを含め、我々の速さは着実に進化していると感じました。次回の菅生は好きなコースです。今回しぶとい走りで少し上向きになった流れを継続させ、そして頂点を目指して頑張ります。

最後に、日本から応援に駆け付けてくれた多くのファンの皆さん暑い中最後までご声援有難うございました。表彰台は次戦以降に持ち越されましたが、菅生では必ずその期待に応えるレースをしますので応援よろしくお願いします!」