スーパーGT2013年シリーズは早くも折り返しにさしかかり、第4戦をスポーツランドSUGOで迎えた。
新体制での闘いも、これが4戦目。4年前に本山哲が長年のジンクスを破りニッサン勢をSUGO初優勝へと導いた、その記憶が残るファンにとっては起死回生の一戦となるであろう期待は大きい。
先週行われた鈴鹿のテストで総合トップをマークしさらに期待を膨らませた1号車「REITO MOLA GT-R」は今季初優勝への絶好のチャンスをものにすべく、SUGOへと乗り込んだ。
7月27日(土) 天候:曇り時々雨 路面:ドライ/ウェット 気温:23℃ 路面温度:24℃(予選開始時)
■公式練習結果:11位 ベストタイム1’18.312(関口)
■公式予選結果:1位 Q2タイム1’14.660(本山)
週末は天気が崩れるという予報が当たり、午前8時45分からの公式練習は、雨は上がっていたもののウェットコンディショで開始。さらに途中から霧が深くなり2時間のセッション中3度の赤旗が出されるなど、マシンのセットアップ、走行リハーサルともに組み立て難いセッションとなる。
結局、終盤のドライタイヤでの走行でほとんどのマシンがベストラップを刻んだ結果1号車は11位で終えることになるが、午後の予選に向けた準備は着々と進んでいた。そして、ここまで3度の戦いで培われていたチーム力が本物であることを、この公式予選で証明することとなった。
午後2時より公式予選が開始。雨は公式練習終了後も降り出すことはなく、Q1の開始時には完全なドライコンディションとなっていた。ほぼぶっつけ本番といえるドライのQ1に、1号車はルーキーの関口雄飛が出走。路面温度が低くタイヤが温まり難い状況の中、全マシンが開始から15分間を連続でアタックする。
関口は3周目に1’15.706をマークし5位に浮上すると、その翌周に1’15.094でいよいよトップに躍り出る。終盤はライバル勢もアタイムアップを果たし追撃してきたが最後まで1号車を上回るマシンはなく、1号車はQ1を堂々のトップで通り抜けた。
そしてQ2では本山が満を持して登場。関口の健闘に応えるかのように、エースらしい圧倒的なパフォーマンスを見せる。
雨が再び降り出す可能性を考慮し、本山は早目にアタックを開始。1周目、充分にウォームアップを行うと、2周目に1’16.928をマークし2位に浮上する。さらに圧巻だったのが、3周目のアタック。Q2では序盤からタイムアタック合戦がヒートアップし本山のファーストアタックの後、1分15秒を切ろうかというスーパーラップを叩き出すマシンが数台現れる中、本山は2周目にこれをはるかに凌駕する1’14.660をマークし一気にトップへと浮上する。
このコースレコードにあたる1号車のタイムは結局誰にも破られることなく、1号車は今季初のポールポジションを獲得。チャンピオンチーム、そしてスーパーGT最多勝ドライバーの本領がいよいよ発揮されることとなった。
●本山 哲のコメント
「前半戦ここまでちょっとバタバタしていましたが、チームにポテンシャルがあることは分かっていたし、鈴鹿のテストで状態はさらに良くなっていました。ようやく結果が出せて、すごくうれしいです。
今日はコンディションを読むこともタイヤチョイスも難しい状況でしたが、自信を持って予選に挑むことができました。Q1で関口がトップだったのでプレッシャーがかかりましたが、早目にアタックした戦略がうまく行きました。
レースはトップスタートということで最初から自分たちのレースができるというメリットもあるし、是非とも勝利を掴みたいと思います!」
7月28日(日) 天候:くもり時々雨 路面:ドライ/ハーフウェット 気温:26℃ 路面温度:40℃(決勝開始時)
■フリー走行結果:15位 1’18.715(本山)
■決勝結果:7位(79周)1h51’48.532(関口Dr→本山Dr)
夜間降り続いた雨が残り、朝9時からの決勝前フリー走行はハーフウェット状態で行われたが、2度の赤旗中断により、どのチームもロング走行含め充分なリハーサルを行うことはできなかった。1号車はそんな中、本山、関口ともに8周ずつを走行しマシンのアジャストにつとめた。
ベストタイム順位は15位に留まったが、前日のパフォーマンスを見たファンの中に、この日の優勝の可能性を疑う者はなかった。
雨はその後も降り出すことはなく、SUGOは予想に反する好天。午後になると一気に気温も上がり、決勝はここまでのセッションとは全く異なるコンディションとなった。各チームはマシンのセットアップやタイヤチョイスがこれに果たしてマッチするのか、不安を抱えグリッドについた。
午後2時、完全なドライコンディションの状態で81周のレースがスタートした。1号車のスタートドライバーをつとめるのは関口。
フォーメーションラップを終えうまく間合いを計ると、ポールから好スタートを切る。その後2位のマシンが背後につけ一進一退の攻防となるも、関口はトップをキープ。1周の距離が短いSUGOでは序盤から頻繁にGT300クラスのマシンがからんでくることになったがいずれも無難に乗り切り、時折GT300クラスのマシンを巧みに利用し差を広げるなど、健闘を続けた。
前半はトップ2台によるマッチレース。次なる展開として、レース中盤のピットインに注目が注がれた。そして40周目、1号車がピットロードに向かうと2位のマシンも続き、ピット作業勝負となる。ここで間一髪の差で1号車はトップを譲ることとなるが、後半スティント担う本山による逆転を多くのファンが信じて疑わなかった。
ところがこの後、事態は暗転してしまう。1号車の前に速いピット作業を行った1台が割り込むかたちとなり、接近戦の末このマシンと1コーナーで接触。マシンにダメージを負ってしまい緊急ピットインを余儀なくされた。1号車はこれで、13位へと一気に後退してしまった。
レースは終盤戦へと入り、抜きにくいSUGOということで本山とはいえ大幅な順位アップは難しいと思われたが、残り30周を切ったあたりで急に降り出した雨が展開を変えた。雨は路面を急速に濡らしたものの、結果的にレインタイヤに交換するまでには至らなかった。
そんな中、レインに交換し勝負に出るマシンや多重クラッシュも発生。順位は目まぐるしく変化することとなる。ここで本山はあきらめずにプッシュし続けた結果、7位まで順位を押し上げフィニッシュ。
1号車は4ポイントを獲得した。さらに本山は1’17.039のファステスラップをマークし、マシン、チームのポテンシャルを証明した。
●本山 哲のコメント
「関口が頑張ってトップで戻ってきたのでなんとか優勝したかったのですが、接触があってピットインせざるを得ず、トップ争いから脱落することになり非常に残念です。
昨日速いところを見せられたので今回こそはと期待していたファンの方も多かったと思いますが、それに応えられず申し訳ありません。でもマシンの速さ、チームの強さは充分証明できたのではないかと思います。
次ももちろん、優勝を狙っていきます。皆さん、後半戦も変わらぬ応援をよろしくお願いします!」