9月7日・8日開催 本山哲選手 スーパーGT第6戦(富士スピードウェイ)レースレポート

本山哲の新たなるチャレンジシーズンもいよいよ残り3戦。富士スピードウェイで、第6戦が行われた。
ルーキーの関口雄飛とともに序盤戦から速さを見せながらも未だ優勝を手にしていない1号車「REITO MOLA GT-R」にとって、残るチャンスは3回となった。その間、ランキングトップとは大きな差がつくことになったが、ここで優勝すればまだタイトルの望みは残る。
その意味でも今回は重要な一戦である。ポテンシャルを示しているだけになおさら、ファンや関係者の期待は大きくのしかかる。もちろんチームもその期待に応えるために、これがラストチャンスだと腹をくくり富士に乗り込んだ。

9月7日(土) 天候:曇り 路面:ドライ 気温:25℃ 路面温度:32℃(予選開始時)
■公式練習結果:1位 ベストタイム1’32.422(関口)
■公式予選結果:7位 Q2タイム1’33.062(本山)

雨の可能性が高い予報の週末だったが、この日は曇り空ながら雨が降り出すことはなかった。そして今回も、1号車は最初のセッションから速さを発揮する。
朝9時から開始された1時間50分におよぶ公式練習では、まず本山がステアリングを握りセットアップを進め、終盤に関口とスイッチ。その関口は予選シミュレーションを行った終盤、最後のアタックで1’32.422を鮮やかにマーク。堂々のトップを記録した。

午後になっても曇り空は変わらなかった。午後2時15分、予想より気温、路面温度がかなり低くなったコンディションの下でQ1がスタート。最初に動きだしたのは1号車だった。今回、Q1を担当するドライバーは関口。先頭を切ってコースインした関口は2周のウォームアップ後、3周目に最初のアタックに入り1’33.461をマークすると、次の周回は1’32.683と、さらにコンマ8秒程削る。そして期待通りにトップに立つと、Q2進出を確信しピットイン。その後終了間際に一台がこれを上回り、2位でQ2担当の本山にバトンが渡された。

Q1終了から約30分のインターバルをはさみ、Q2が開始された。本山を乗せた1号車はQ1と同様に開始から約5分後、8台のマシンの先頭でコースインしていく。そして2周のウォーミングアップを経て、3周目からアタック開始。3周目のタイムは1’33.062と、わずかに32秒台に届かず、翌周のタイムに期待がかかる。しかし4周目も1’33.114とタイムアップはならず、そのままセッションは終了。この結果、1号車は7位で第6戦の予選を終えることとなる。しかしながら、この日の1号車の最速タイムはポールのタイムとほぼ互角。決勝での逆転優勝を充分期待させるポテンシャルを見せた。

本山 哲のコメント

「マシンの状態は非常に良くセットアップも順調だったのでポールが狙えると思っていたのですが、7位という結果は残念でした。ただ、決勝は雨の予報もあるし、戦略や状況判断次第で大きく順位を上げられる可能性もあると思います。
速さについては自信があるので、そのあたりがうまくいけば優勝にも届くはず。速さがありながら結果が出せない状況がずっと続いているので、レースではチーム全員が力を合わせて優勝目指し追い上げて行きたいと思います。」

9月8日(日) 天候:くもり時々雨 路面:ドライ/ウェット 気温:25℃ 路面温度:34℃(決勝開始時)
■フリー走行結果:2位 1’44.958(本山)
■決勝結果:7位(66周)1h54’04.441(本山Dr→関口Dr)

決勝日は予報通り、朝から雨模様。午後の決勝も、雨となる可能性が強くなった。
前日は一度もレインコンディションとならなかったため、いずれのチームも朝の30分間のフリー走行時に急遽、レインセッティングを固めていく。1号車はそんな状況でも前日に続き、速さを見せた。

本山から関口へとドライバーを替えセットアップを進めた結果、本山が中盤にマークしたタイム1’44.958は2位。この時点で午後の天候は確信できなかったが、どちらに転んでも1号車の決勝でのパフォーマンスが高いであろうことは確信できた。

フリー走行後、一転して雨は一旦止み、路面は急速に乾いていった。そして決勝開始時刻の午後2時には、完全なドライにまで回復。しかし上空には新たな雨雲が接近し、レース中に再び降り出す可能性を感じさせながらフォーメーションラップがスタートした。

7番グリッドの1号車は今回、本山がスタートドライバーをつとめた。クリーンなスタートが切られたオープニングラップから序盤は上位の順位変動はほぼなく、本山も7番手をキープしながらチャンスを待つ。1号車のレースペースは良く、6位のマシンの背後から離れることはなかった。
そして迎えた10周目、大きなチャンスが訪れた。1コーナー先で、5位と6位のバトル間にGT300のマシンがからむ。この瞬間を本山は逃さなかった。本山はこれを利用して、鮮やかに2台まとめてパス。1号車は一気に5位まで浮上する。

さらに20周目にセーフティカーが入り、隊列が整いピットイン可のサインが出されるとほとんどのマシンが一斉にピットイン。今度はピットクルー同士の勝負となる。隊列が整った後ということでタイム差が少なかったため、ここで大きく順位は変動。その結果、トップでピットロードを抜けてきたのは1号車だった。ピットクルーの完璧な作業に加え、本山の燃料セーブテクニックが給油時間を削ったことも大きかった。

セカンドスティントをドライブする関口はその後、チームと本山が築いた実質トップのポジションを、後続の猛攻を受けながらも決死の走りで守り抜く。ところが35周目、1号車にドライブスルーのペナルティが掲示。リスタート時の違反をとられてしまった。

リスタート後間もなかったため後続とのタイムはまだ少なく、ここで一気に11位まで後退。しかしマシンと関口の速さは衰えることなく残り周回を全開でプッシュした結果、1号車はスタート順位の7位まで追い上げ66周のチェッカーを受けた。
今回も優勝こそならなかったが、開幕から6戦連続ポイント獲得という強さを見せた。

●本山 哲のコメント

「今回も、シーズンの流れを象徴するような内容のレースになってしまいました。マシンも速くてドライバーもチームもしっかり仕事をしたのに、何かがひとつ欠けてしまう、というような……。
今回のレース、マシンとしてはもう少し雨が絡むことを想定したセットアップだったのですが、その割にドライでもパフォーマンスは安定していたし、戦略もうまくいって、ピットも完璧な仕事で、トップ浮上するところまでは順調でした。
ペナルティがなければ優勝を狙えたレースだと思います。

今回も皆さんの期待に応えることができず、申し訳けない気持ちで一杯です。ですが、ここまできたらとにかく速さを結果に結びつけることだけなので、残り2戦は今まで以上に、応援していただいているファンの皆さんや関係者の皆さんの全ての気持ちをのせて思い切り行きたいと思います。
次戦も皆さん、応援よろしくお願いします!」