6月14日開催 本山哲選手 ル・マン24時間レースレポート

世界三大レースのひとつに数えられる伝統の「ル・マン24時間」は現在、FIA世界耐久選手権(WEC)のシリーズ戦に組み込まれ第3戦として今年も開催された。ニッサンはLMP-2クラスの多くのマシンにエンジンサプライヤーとして参戦する一方で、主催者であるACOが未来に向けた革新的な開発を行っているエントラントにチャレンジの機会を与える特別枠「ガレージ56」の適用を受け、ガソリンエンジンとモーター、2つのパワートレインを任意で切り替えることができる革新的なマシン「NISSAN ZEOD RC」をエントリー。3人のドライバーのひとりに日本人で唯一本山哲が選ばれ、ルーカス・オルドネス、ウォルフガング・ライプとともに参戦することになった、自身4回目のル・マン参戦。
ニッサンの目指す未来のプロジェクトの一環であることに加え、2015年からのシリーズフル参戦に向けた布石ともなる一戦となった。【予選1】6月11日(水)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:22℃ 路面温度:23℃(予選1開始時)

【予選2/3】6月12日(木)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:26℃ 路面温度:30℃(予選2開始時)

ル・マン24時間の予選は、二日間にわたる3回のセッションで行われる。本山はこの予選2で、0号車を初めてサルト・サーキットでドライブした。そしてドライブ中に0号車は、今回のチームの目的のひとつである最高速度300km/hをミュルサンヌストレートでマーク。ル・マンにおける電動駆動マシンによる最速記録を樹立した。

NEW ELECTRIC SPEED RECORD! 300KPH at LE MANS youtubeの動画サイトにリンクします。

【決勝】6月14日(土) 天候:曇りときどき雨 路面:ドライ/ウェット 気温:17℃ 路面温度:18℃(決勝開始時)

決勝前日、金曜日の夕方から振り出した雨は朝になっても降りやまず、午前中のウォームアップ走行はあいにくのウェットコンディションの下で行われた。しかし0号車はこの悪コンディションの中、ライプが早くも13.6キロのコースを電力駆動だけで走り切るという、もうひとつの目標を達成。決勝で24時間を完走するという最終目標に向け、この日も順調にスタートを切った。

「WORLD’S FIRST FULL ELECTRIC LAP AT LE MANS」 youtubeの動画サイトにリンクします。

ウォームアップ走行後天候は回復し、0号車はライプがステアリングを握り27番グリッドからスタートすると、順調に周回を重ねて行った。ところが6周目、時間にして23分が経過したあたりでマシンにトラブルが発生し、アナルージュの先でストップ。まだ序盤ということで何とかピットに戻って修復を試みたいところだったが、ル・マン24時間のルールではドライバーが自ら修復にあたり自力でピットまで戻らなければならない。結局0号車はそこから再スタートを切ることができず、無念のリタイアとなった。本山は決勝をドライブすることができなかった。

トラブルの箇所は「NISSAN ZEOD RC」の革新的なシステム部分ではなく、奇しくもギアボックス部分。他の箇所であればピットに戻り修復した後に再スタートできた可能性が高かっただけに、非常に惜しまれる結末となった。しかし今回達せられたふたつの目標、そしてこの悔しさはきっと、2015年から開始されるニッサンのLMP1クラスでの戦いにつながるものとなるだろう。

■本山哲のコメント

「2年ぶりにル・マンを走るということで、今回のチャンスを非常に楽しみにしていました。長いル・マンウィークの中でいろいろなことがありましたが、今回の目標である電力だけで300km/hに到達することができた事、そして電力駆動だけでコースを走り切ると言う2つの目標が達成できたことで、日産自動車が未来へ掲げる大きな目標に少なからず足跡を残せたと思います。

決勝を走れなかった個人的な悔しさは、7月のスーパーGT SUGO大会にぶつけたいと思います。もちろん、ここでは優勝を目指しますので皆さん応援よろしくお願いします!」