スーパーGT2016シリーズが今年も、岡山国際サーキットで幕を明けた。2年連続でGT500クラスを制したニッサン勢に一矢報いようといっそうマシン開発にライバル勢が注力したであろう今季は、かなりの激戦が予想される。
そんな中、昨年クラス6位に終わった46号車「S Road CRAFTSPORTS GT-R」はニッサン勢として3年連続、そしてチームとして4年ぶりのタイトルを目指し、昨季は国内外で活躍したドライバー千代勝正を迎え入れた。
絶対的エースの本山哲と今最も勢いのあるドライバーとのコンビがどのような相乗効果を生むのか、多くのファンから注目を浴びる開幕戦となった。
【予選】
4月9日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ 気温:23℃ 路面温度:24℃(予選開始時)
■公式練習結果:5位 ベストタイム1’19.235(本山)
■公式予選結果:4位 Q2タイム1’18.419(本山)
雨に見舞われた昨年とは一転、今年の岡山は初日から快晴に恵まれた。午前9時から公式練習がスタートすると、46号車はまず本山がステアリングを握り序盤から昨年開幕戦のポールタイムに約コンマ2秒差に迫る好タイムをマークするなど順調にセットアップを進めていく。
その後はGT500クラスデビューとなる千代がショート、セミロング走行を担当。終盤の占有走行で千代も本山に迫るベストタイムをマークし、午後の予選での上位グリッド獲得を予感させた。
その予感は的中した。GT500クラスの予選Q1は午後3時10分より開始。午前よりも路面温度がかなり上昇する中、各マシンは開始5分過ぎから動き出し短い周回でのアタックにかける。
Q1アタックを担当する千代も7分過ぎにコースインすると、1周のウォームアップを経てアタック周回に入る。そして多くのマシンが46号車と同じタイミングでアタックに入り2周目、3周目とハイレベルな攻防を繰り広げられた結果、コースレコードを破る渾身のアタックを見せたのが千代だった。千代がマークした1’18.885は、その後上回るものは現れずQ1を堂々のコースレコードのトップタイムで通過
ポールをかけた8台によるQ2は、さらに熾烈な争いとなった。開始から3分が経過したあたりで8台は一斉にコースイン。本山を乗せた46号車は、入念にウォーミングアップを行い2周目からアタックに入ると、まずは1’22.161、そして3周目には千代のタイムを0.466秒も上回る完璧なアタックで更にレコードタイムを更新、1’18.419をたたき出す。
だがQ1よりやや路面温度が下がったこの時間帯はライバル勢もタイムを伸ばし僅差で上位がひしめいた中、惜しくもポール獲得はならず。セカンドローの4番手グリッドから、開幕戦勝利を目指すこととなった。
●本山哲のコメント
「Q2は予定通りのタイミングでアタックそのものも決して悪くなく、目標に近いタイムをマークすることができましたが、路面温度がQ1より下がっていたことでライバル勢もタイムを出してきて、残念ながら開幕ポールとはなりませんでした。千代もQ1で良いパフォーマンスを発揮したので、この流れを維持してレースに挑みます。
作戦的には決勝に向けたタイヤをチョイスしたので、レースでのパフォーマンスはいいはず。
開幕戦に向けオフの間にしっかり準備はできているので、まずそれをカタチにしタイトル獲得を有利にするためにも開幕戦のポイントが重要。表彰台以上を目指して戦います。」
【決勝】
4月10日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ 気温:18℃ 路面温度:20℃(決勝開始時)
■フリー走行結果:3位 1’21.900(千代)
■決勝結果:3位(82周)1h56’38.486(本山→千代)
2016シーズン開幕戦決勝の日を迎えた岡山国際サーキットは、前日同様の快晴につつまれた。午前9時からの30分間のフリー走行はドライコンディションの下行われ、各マシン決勝本番に向けた最終調整を行う。
途中2度の赤旗により走行時間は短縮されることになったが、46号車は本山も千代も快調なペースで走行。終盤に千代がマークした1’21.900はクラス3位と昨日同様の安定した速さを見せ、決勝での活躍を予感させた。
フリー走行後2つのサポートレースとピットウォークをはさみ、例年よりやや遅い午後2時40分に決勝のフォーメーションラップはスタート。
コース幅が狭い岡山ということでサポートレースではアクシデントが多発したが、スーパーGTではいずれもクリーンなスタートとなる。
46号車のスタートドライバー本山もオープニングラップでしっかりと4位をキープし、反撃のタイミングを待った。その後もトップ4台の順位は変わらず、そのままに周回を重ねる。
レースは序盤、46号車の後ろではバトルがあったもののその後、1~4位は一定の距離を保ったまま順位は膠着状態となる。予選上位とのタイム差を感じさせないレースラップを刻みながら中盤に差し掛かるまで4位をキープし続けた。そして30周を過ぎたあたりからピットインがはじまり、46号車は36周目にピットイン。
前半スティントの路面状況を見極め後半には違うコンパウンドのタイヤをチョイスし、GT500クラスレースデビューとなる千代に反撃は託された。
そんな本山の粘りの走りに、千代はしっかりと応えた。全マシンがピットインを終えると、46号車の順位は変わらず4位。だがコースイン後の猛プッシュにより、3位との差はかなり縮まっていた。千代はさらに速いペースで走り続け43周目に3位に追いつくと、そこからバトルを開始。
初めてのGT500クラスのレース、コース幅の狭い岡山と難しい条件が揃っていたが52周目にはついに捉え3位に浮上する。
その後も46号車の勢いは止まらず最後まで2位をかけた攻防が繰り返されたが、惜しくも決定打には至らず46号車は3位でチェッカーを受けた。
目の前の2位を逃したことは悔やまれるが、開幕戦で大きなポイントを獲得したこと、新パートナーの千代が光る走りを見せたことは、タイトル奪回への大きな弾みとなるだろう。
●本山哲のコメント
「昨日も今日も、千代の素晴らしい走りがすべてだったと思います。チームに加入してからも速く走れる力を持っているドライバーだし期待していました。
前半は路面温度が上がらず思ったようにプッシュできなかったのですが、後半はチームが合うタイヤをチョイス出来た事によりタイヤもクルマも、そしてドライバーもベストパフォーマンスを発揮してくれました。
残念ながら優勝する事は出来ませんでしたが、シーズンスタートとしては良いレースだったと思います。
これは、シーズンオフの間、千代も含めチームスタッフ全員がシーズンに向けて充分に準備してきた事の結果。チームのポテンシャルに不安は有りませんので、レースではチーム全員が常にトップを意識して戦います。
開幕戦で表彰台を獲得し幸先のいいスタートが切れた事でチャンピオンシップも良い状況で戦っていけると思いますし、早く優勝したいです。応援よろしくお願いします!」