スーパーGT2015シリーズは後半戦に突入。恒例の1000kmレースを鈴鹿サーキットで迎えた。
第3戦で優勝を果たした46号車「S-Road MOLA GT-R」はランキング5位で前半戦を折り返し、残り4戦でポイントを重ねランキングトップ浮上を狙うことになる。
そのためにはウェイトハンデをフルに積む第6戦までは着実なポイント獲得が必須となるが、その中でもこの大会は特に獲得ポイントが通常のレースより多いため、絶対に落とすことができない。
それだけではない。GT500クラス最多勝利記録保持者として長年トップに君臨する本山哲にとって、これまで唯一勝利を果たしていないのがこの鈴鹿1000km。
チームが好調なだけに、今回に賭ける思いには並々ならぬものがあった。
【予選】8月29日(土) 天候:曇り 路面:ドライ 気温:27℃ 路面温度:32℃(予選開始時)
■公式練習結果:9位 ベストタイム1’48.728(柳田)
■公式予選結果:4位 Q1タイム:1’47.749R(本山) Q2タイム1’48.042(柳田)
週末は雨の予報だったが前夜の雨が残ってはいたもののこの日は降りだすことはなく、午前9時20分からの90分の公式練習はスタートからしばらくするとドライコンディションへ。
セットアップが進むと同時に各マシンは、徐々にラップタイムを伸ばしていった。
長丁場のレースということでスケジュールの都合から午前中のフリー走行は行われず、したがってこの90分間でしっかりとマシンを仕上げなければならない。
46号車は前半に本山が、後半に柳田真孝がステアリングを握った。そして最も路面状況が良くなった最後の5分間の混走で柳田が、1’48.728のベストタイムをマーク。クラス9番手でこのセッションを終えた。
午後になっても変わらずの曇り空だったが雨はやはり降らず、ドライコンディションのまま公式予選は2時50分よりスタートした。
46号車のQ1アタッカーは本山。46号車は開始から5分過ぎに、全体の2番目でアタックに入る。しかし46号車がアタック周回に入ろうかというタイミングでセッションは赤旗中断に。
マシンの回収を終えるとすぐにセッション再開となったものの、残り時間はわずか5分のみ。
再開後は全マシン一斉にコースイン。ここで46号車はピット位置の関係で後ろから2番目のアタック順となり、ウォーミングアップラップの後に残されたアタックチャンスは1周のみとなってしまった。
だが、そんな時こそ本領を発揮するのが百戦錬磨の本山。ライバルたちがコースレコードを破る好タイムを連発してくる中、ここぞとばかりに集中力を研ぎ澄まし47秒台を一発で叩き出す。
こうして46号車は本山の見事なアタックにより1’47.749のコースレコードでQ1をトップ通過し、今季初のポールポジションを視野に入れた。
同じくハイレベルな攻防となったQ2で柳田も健闘し、1’48.042をマーク。
結果的に今季初のポールは逃したものの、46号車は長丁場のレースで十分優勝を狙える4番手グリッドを獲得した。
●本山哲のコメント
「クルマのパフォーマンスは非常に良く、予選Q1ではアタックチャンスが少ない中、アウトラップでしっかりとタイヤを温めることができ、トップタイムをマークすることができました。
Q2も決して調子が下がったわけではなくちょっと慎重に行き過ぎただけなので、決勝では十分優勝を狙えると思います。
レースは雨になるかもしれませんが、そうなったらなったで、ウェイトハンデが重い46号車にとっては吉となるかも知れません。
前回の富士で取り逃したポイントをここでなんとか挽回したいと思います。応援よろしくお願いします!」
【決勝】8月30日(日)天候:雨のち曇り 路面:ウェット→ドライ 気温:27℃ 路面温度:28℃(決勝開始時)
■決勝結果:6位(162周)5h47’15.480(本山⇒柳田⇒本山⇒柳田⇒本山⇒柳田)
決勝を迎えたこの日、雨は朝から降ったりやんだりを繰り返した。そんな状況のまま12時30分、172周にわたる長いレースがスタート。
例年の猛暑との戦いとは一変し、今回は雨の展開に対しいかに的確な状況判断ができるかが速さ以外の重要なファクターとなった。
レースは長丁場でありながら、序盤から激しく順位が入れ替わる幕開けとなった。
特にGT300のマシンがからみはじめた8周目からは雨と水しぶきで視界がさえぎられる中での接近戦となり、ハラハラさせられるシーンの連続でファンにとっては大いに見応えのある展開となった。
46号車はまず本山がスタートドライバーをつとめるが、ペースとしては好調だったものの6周目に他車に接触され早くも順位後退を余儀なくされる。
だが序盤の接近戦が落ち着くと、そこから反撃開始。失った順位を徐々に復活させていった。
8位まで順位を復帰させたところで30周目に最初のピットイン。柳田のドライブによる第2スティントはそのまま8位からのスタートとなるが、このあたりから雨が強くなりアクシデントが各所で発生しはじめる。46号車はひとつ順位を上げしばらく7位をキープし続け51周目、早めに2回目のピットイン。
さらにその6周後、雨がやみ路面が乾きはじめたことで再びピットインし、タイヤをスリックに替え一気に勝負に出た。この判断は奏功することになった。58周目にコース上でクラッシュしたマシンが出てセーフティカーが入る。ここで46号車は前との差をつめることに成功し、70周目に7位でリスタート。
すると75周目に再びセーフティカーが入り、さらにトップと8秒差の6位へと浮上する。そして89周目に4度目のピットインを行なうと、そこから代わった本山が快進撃を見せる。96周目に5位浮上を果たし99周目には4位。102周目にはついに、表彰台圏内の3位へと躍進した。
その後も上位で激しい順位争いを繰り広げていった46号車だったが、第2スティントが短かったことでライバル勢より1回多いピットインを余儀なくされ、結果的に表彰台は叶わなかった。それでも6位で踏みとどまり、長丁場のレースのチェッカーを受けた。
この大会のみに与えられる走行ラップ数2ポイントを加えた、貴重な8ポイントを獲得。
ランキングは6位となるが、上位まで1レースで追いつくポイント差。次戦以降に望みを繋げた。
●本山哲のコメント
「予選の速さからいって、タイトル争いのことを考えると今回はもっと多くのポイントを獲得したかったところですが、悪天候と序盤の混乱に振り回され厳しいレースでした。
しかし、レース前半にアクシデントなどで一時順位を下げながらも最終的に6位まで挽回しきちんとポイントを獲得できたことは結果として良かったと思います。
雨が降ったり止んだりする中、長丁場のレースを最後まで応援してくれたファンの皆さん有難うございます。
次のSUGOもオートポリスも相性の良いサーキットなので、そこでもう1勝してタイトル争いをしていきたいと思います。
残り3戦も皆さん、応援よろしくお願いします!」