九州のオートポリスで行われたセミファイナルからわずか2週間のインターバルを経て、スーパーGT2015年シリーズは一気に最終局面へと突入した。最終戦の舞台は栃木県のツインリンクもてぎ。
第6戦で2位を獲得し再びタイトル戦線へと返り咲いた46号車「S-Road MOLA GT-R」は第7戦でも5ポイントを加算し、タイトルの権利をもつ6台のうちの1台としてこの決戦に挑むこととなった。
可能性としては厳しいといわざるを得ないが、その分駆け引きを考える必要はなく、とにかく優勝に向かってひた走るということだけが今回の目的となる。
チャンピオン経験者の本山哲、柳田真孝、両ドライバーの経験と速さが最も活かされる場面が訪れた。
【予選】11月14日(土)天候:雨 路面:ウェット 気温:13℃ 路面温度:16℃(予選開始時)
■公式練習結果:14位 ベストタイム1’48.544(柳田)
■公式予選結果:13位 Q1タイム1’49.761(柳田)
週末は悪天候が予想されていたが、16ポイントを逆転するためには46号車にとってむしろ好都合だともいえた。予報通り、朝8時50分より行われた公式練習は雨のスタート。予選、決勝いずれも同じような状況が想定されることで各マシン、レインセッティングの合わせ込み、走り込みに余念がなかった。そしてセッション中盤あたりから雨脚は徐々に弱まると、そこから各マシンは徐々にタイムアップ。
小雨となったセッション終盤の占有走行で、ほとんどのマシンがベストタイムをマークすることとなる。46号車も柳田がこの時間帯に1’48.544のベストタイムをマーク。しかし順位はクラス14番手に留まる。
公式予選は午後2時から、GT300クラスのQ1に続きGT500クラスのQ1が行われた。雨の動向が読めない状況のため、各マシンは開始とともにコースイン。
46号車は約1分後、柳田が集団から少し間隔を空けるかたちでコースに入った。
まず1周をウォーミングアップにあてると2周目に1’50.555、3周目には1’49.761までタイムアップを果たす。そして、さらなるタイムアップを求め以後も連続でアタックを仕掛けるが、このあたりから雨が強くなりはじめる。
チェッカーまで4周のチャンスがあったが、結局それ以上タイムを伸ばすことはできず最終的に13位でQ1を終了。
Q2での本山の出番はなく、タイトル獲得のためには優勝が必須という条件の中、46号車は13番グリッドより決勝に挑むこととなった。
●本山哲のコメント
「雨の量を予想して選んだタイヤが実際のコンディションと合わなかったようで、柳田もベストのアタックをしたと思いますが残念ながらQ2に進出することができませんでした。
でも、レースではコンディションが違っているだろうし、スリックで走れる状況になる可能性もあるので勝負はまだわかりません。
とにかく勝たなければタイトルのチャンスはないので決して諦めることなく、とにかく優勝に向かって全力で頑張るということしかありません。
皆さん、最後まで応援よろしくお願いします!」
【決勝】11月15日(日)天候:雨のち曇り 路面:ウェット→ドライ 気温:20℃ 路面温度:19℃(決勝開始時)
■フリー走行結果:15位 1’52.991(本山)
■決勝結果:リタイヤ(25周)48’06.455(柳田■本山)
前日から降り続いた雨は朝から徐々に弱まり、天気は回復へと向かっていた。午前8時50分から行われたフリー走行こそウェットコンディションだったものの、その後雨は完全に止み、決勝前のウォームアップでは全マシンがドライタイヤを試すほどに至る。
雨のフリー走行ではレースを想定したシュミレーションを徹底的に行いタイムこそ精彩を欠いた46号車だったが、レースではこの予選ポジションから確実にトップまでを視野に入れる作戦を念入りに検証した。
ウェットスタートで途中からドライとなればなおさら、ピットタイミングとドライバーの技量によって大逆転も可能だ。そして午後を迎え、各マシンがグリッドに着いたあたりで一時的に降った雨がウェットスタートで途中からドライという展開を確実なものとした。
午後1時50分、最終戦決勝のフォーメーションラップが開始。ウェットスタートとなった第1スティントを、46号車は柳田が担当した。レースは最終決戦ということでオープニングラップから随所で激しいバトルが繰り広げられる展開となり、46号車もその中で奮闘。
粘り強い走りでジワジワと順位を上げていく。13位スタートから2周目にポイント圏内の10位まで上げた順位はその後一旦失うことになるものの、17周目には再び10位へと復帰。
雨はスタート時には止んでおり、路面もこの頃にはかなり乾いていた。そして、ドライに切り替える判断をどのチームより早く下した46号車は19周目にピットインし、ドライタイヤに交換。後半スティントを担当する本山をコースへと送り出した。
やや早すぎたかにも思われたピットインのタイミングだが、この判断は奏功した。本山はコースインすると直ぐにタイヤのウォームアップを済ませ反撃を開始。
滑りやすい路面状況の中で見事にマシンをコントロールすると24周目、25周目と立て続けにファステストをマークし大逆転の可能性を膨らませる。
ところが25周目、思いがけないアクシデントが46号車を襲った。GT300の集団に出くわしタイムロスがないよう鮮やかに抜き去った本山だったが・・・・最後の1台が46号車の存在を認識しておらずコースを変えてしまいリア部分に接触してしまったのだ。
46号車はリヤカウル部分全てが飛ばされるほどの大きなダメージを負い、コースサイドにマシンを止めレース半ばにして無念のリタイヤを余儀なくされた。
今シーズン、46号車は1度のポールポジション、1勝の勝利をファンの記憶に残しドライバーズ・チームともにランキング6位で2015年シーズンを終えた。
●本山哲のコメント
「予選は正直厳しかったもののレースではコンディションが変わったので何としても挽回したかったのですが、あっけない幕切れとなってしまいました。
朝のフリー走行は、このセッションでのタイムを求めるのでは無くチーム全員で徹底的にレースシュミレーションを行い、必勝態勢で挑んだシーズン最後のレースでチェッカーを受けられなかったのは非常に残念で悔しい思いで一杯です。
今季を振り返ると、年間を通じて常に速さを見せることができたし、ポールポジション、優勝と、チームやドライバー、マシン本来の結果を残すことができました。
そして、最終戦までタイトル争いをすることもできた。トータルでは良いシーズンだったと思います。
最後になりましたが、いつもサポートしてくれているファンの皆さん、日産自動車、ニスモを始め関係者の皆様、そしてチームスタッフ、スポンサーの方々には感謝の気持ちでいっぱいです。心から御礼を申し上げます。
来年も優勝そしてチャンピオン争いに加わりタイトル奪還できるよう頑張りますので、引き続きご声援よろしくお願い致します。
このオフは、ニスモフェスティバルで皆さんと会えるのを楽しみにしています!」