スーパーGT2018シーズンは後半戦に入り、富士スピードウェイで第5戦を迎えた。
夏休みの富士ラウンドはここ数年恒例だが、今回から距離が500マイル(807.651km)という、全く性格の異なるレースに変貌。
真夏の耐久レースは昨年までの鈴鹿1000kmで各チーム経験積みであるものの、コースが違えばノウハウも異なってくるため未知のレースだといえる。
そんな中、富士に強いGTR勢でハンデが比較的軽い3号車「CRAFTSPORTS MOTUL GT-R」は、優勝候補の一角に名を連ねた。
その期待通り、午前中に行われた公式練習で千代勝正が2位をマーク。
好調な滑り出しを見せた。
【予選】8月4日(土)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:31℃ 路面温度:44℃(予選開始時)
■公式練習結果:2位 1’29.513(千代)
■公式予選結果:4位 1’28.872(本山)
富士はこの日、例外なく猛暑となった。午後2時55分、公式予選Q1がドライコンディションでスタート。
GT500クラスの各マシンはタイヤパフォーマンスのピークを15分間のセッションの終盤に合わせるため序盤はピットで待機、開始から6分を過ぎたところで一斉にコースインしていった。
正午あたりは50℃を超えていた路面温度は44℃まで下がり、各マシンは2周から3周のウォームアップを経て、アタックへと入った。
千代がQ1を担当する3号車は、3周のウォームアップを経てターゲットラップである4周目にアタック。
ややミスがあったものの1’29.076をマークすると、トップに立った。
だがライバルたちもこのあたりから29秒台前半を続々とマーク。
Q2進出圏内の8台は、わずかコンマ4秒差以内にひしめくことになった。
そんな中、3号車は2位に留まることになり順当にQ2へと駒を進めた。
Q1の上位8台によって争われるQ2は、午後3時38分より開始。
Q2は10分間ということで、各マシンは2分を過ぎたあたりから動き出す。
3号車の本山哲は8台中3番目にポジショニングすると2周のウォームアップ後、3周目にアタックに入った。
そしてQ1と同じくQ2でも速さを見せる3号車は上位が29秒台で競り合う中、一気に28秒台へと突入。
1’28.872をマークしトップに躍り出る。
だがこの後、同じく28秒台をマークしてくるマシンが数台現れ、ポール争いはQ1と同じく接戦に。本山にはもう1周アタックのチャンスがあったが、ここはベスト更新ならず。
最終的に3号車は4位となり、セカンドローからレースに挑むことになった。
●本山哲の予選コメント
「朝の公式練習からクルマ、タイヤともに今回はかなり高いレベルにあることを感じていました。バランスも良く、かなりの手ごたえをもって迎えた予選でした。
その中で、Q2ではセクター3でややオーバーステアが出てタイムロスした分、トップには負けたという感じです。
そこは決勝までに改善しレースに臨みたいと思います。
富士では初めての500マイルレース、そして4回のピットインが義務付けられる未知数のレースになりますが、それは他も同じ。この良い流れを活かした戦略でチーム一丸となって戦います。
とにかくクルマに手ごたえを感じているので、きちんとレースができれば表彰台にいける自信はあるし、優勝のチャンスも充分あると思います。
応援よろしくお願いします!」
【決勝】8月5日(日)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:35℃ 路面温度:48℃(決勝開始時)
■決勝結果:15位(139周)3h45’45.752(千代→本山→千代→本山→千代)
富士は前日同様の猛暑となり、初の500マイル(807.651km)のレースはより過酷になると予想された。
エンジン、タイヤ、ブレーキ、ドライバーにかかる負担をどう克服するのか、また義務づけられる4度のピットインをどう戦略に活かすのか、チーム力が試される一戦は午後1時30分、スタートした。
レースは長丁場らしい、静かな幕開けとなった。
3号車の第1スティントを担当する千代は4番グリッドからスタート後の1コーナーで順位をひとつ落とすも、落ち着いて立て直し翌周挽回。
さらに3位浮上へ向けペースアップと、順調な出だしを見せる。
7周目にはGT300のトラフィックからコースアウトし後退するが、ここでもすぐに6位復帰。この先の長さを考えればペース的にも、まだ充分上位進出の可能性はあるものと思われた。
ところが20周目にさしかかったあたりからタイヤのグリップが急激に落ち、3号車のペースは一気にダウン。そこまで1分32~33秒台だったラップタイムは35秒台、36秒台と周回を追う毎に苦しくなる。
このため3号車は29周目と、予定より早い段階で1回目のピットイン。
代わった本山はペースを再び32~33秒台へと戻し、徐々に前のクルマに近づいていく。この時点で暫定14位とスタートグリッドの4位からはずいぶん遠ざかってしまったが、レースはまだ130周以上残されている。
この暑さで後半サバイバル戦となれば、チャンスはまだある。
本山はタイヤマネージメントに気を払いながらの着実な走りで、遠い先にあるチャンスを待つことにした。だがやはり、このスティントでも20周を境にグリップダウン。
ここから3号車のペースはまた一気に36秒台へと落ちることになってしまった。
こうして2回目のピットインも57周目と予定より早めざるを得なくなり、そればかりか千代に代わった第3スティントでも同じ現象に悩まされる。
再び本山がステアリングを握った第4スティントでも、状況は変わらなかった。
そしてレースは終盤へとさしかかり、予想通りトラブルを発生させるマシンが現れはじめる。
その口火を切ったのが3号車だった。
ここまで防戦一方の3号車に追い打ちをかけるように139 周目、今度は駆動系のトラブルが発生。
これ以上は戦えないと判断したチームはここでリタイヤを決意。第5スティントを走っていた千代はピットに戻ると、マシンをガレージに納めた。
なお139周は全周回数の7割を超えているため、完走扱いとなった。
●本山哲の決勝コメント
「自分のスティントでも千代と同じトラブルが出てしまい、どうにもならなかった。予定周回までタイヤを持たせるためにペースを落とさざるを得ず、終始苦しい状況で走り続けることになりました。
さらに終盤には駆動系にトラブルが発生し、リタイヤと言う苦渋の決断をする事になりました。
これは全く想定外のことで、この原因は徹底的に究明して次戦に備えます。
長時間にわたるこのレースを応援してくれたファンの皆さんに、最後まで戦う姿を見せられなかったことが残念でなりません。
次のSUGOは自分としても自信があるコースなので、ここで思い切り走れるよう万全の態勢で挑みたいと思います。
猛暑の中、応援に駆けつけてくれたファンの皆さん、関係者の皆さん有難うございました。次戦は、昨シーズン後方グリッドより表彰台を獲得した相性の良いSUGO。
チーム一丸となって戦いますので、応援よろしくお願いします!」